無料で使えるeSIM「Firsty(ファースティ)」。海外旅行のネット手段として本当に便利で、当ブログでも以前ご紹介しました。

ただ、ネットで「Firsty 繋がらない」と検索すると、「eSIM対応スマホなのに使えない」という声がチラホラ見つかります。
実際、私も今年のゴールデンウィークに家族で5カ国(中国・イタリア・エジプト・イギリス・ポーランド)を旅した際、Firstyが繋がらずに焦った場面がありました。
結論から言うと、その原因はAPN(アクセスポイント名)の設定だったんです。
そこでこの記事では、Firstyが繋がらないときにAPNの手動設定で解決した実体験と、海外で国をまたいで移動するときの具体的な対処法をまとめてご紹介します。
ロイ- Firstyが繋がらない原因の多くは「APNの自動設定がうまくいっていない」
- スマホによってはAPNを手動で設定する必要がある
- APN設定は国によって異なる(日本・中国と、ヨーロッパ各国で別設定)
- APN設定後、すぐには繋がらず「数時間〜半日」かかることがある
- 国をまたぐときは、繋がっているうちに次の国のAPNを確認しておくのが安心
そもそもAPNって何?


APNは、「アクセスポイント名(Access Point Name)」の略です。
スマホがモバイルデータ通信をするとき、携帯回線とインターネットをつなぐ「出入口」の設定だと考えてください。
このAPNが正しく設定されていないと、たとえ電波(アンテナ)が立っていても、インターネットには繋がりません。
そのため、「アンテナはあるのにネットが使えない」という状態の多くは、このAPNが原因です。
Firstyの場合、よく知られているAPNは「bicsapn」という値ですが、実は国・地域によってAPNの設定が異なることがあります(詳しくは後述します)。
そして多くのスマホでは、eSIMをインストールした時点でこのAPNが自動的に設定されます。



「eSIM対応なのにFirstyが使えない」の正体
今回、私が「Firsty」をeSIMに設定して旅行に持っていったスマホは、「arrows We2 Plus M06」という機種です。
実はこのスマホはサブ機として持って行ったのですが、その理由には2つありました。
普段使っているiPhoneは、各種アプリの認証(ログイン認証や決済認証など)に使っているため、海外で紛失・盗難に遭うと帰国後の生活にまで影響が出てしまいます。
今回訪れたヨーロッパ方面は、残念ながらスリやひったくりのリスクが高い地域です。実際に旅行口コミなどでもよく語られていますが、ざっくりこんな傾向があります。
- イタリア:気づかないうちに抜き取られるタイプのスリが多い
- エジプト:スリに加えて、ひったくりも普通に起こりうる
- イギリス(ロンドン):かなり強引なひったくり(バイクでの引ったくりなど)が多い
こうしたリスクを考えると、スマホをひとつ盗まれる前提でも生活が崩れないようにしておきたい。
そこで、旅行中はAndroidのサブ機をメインとして使い、最悪これが盗まれても致命傷にならない体制で臨むことにしました。
どうしてもiPhoneで作業が必要なときだけ、サブ機からテザリングする形です。
とはいえ、サブ機だって盗まれたくないのは当然なので、ストラップを付けて鞄に固定し、ひったくり対策はしたうえで使っていました。
このarrows We2 Plus M06、スペック上はeSIM対応です。それなのに、ネットの口コミを見ると「Firstyが使えない」という声が散見されました。
実際に使ってみてわかったのは、「使えない」のではなく「APNが自動設定されない」だけだということ。
このスマホは、FirstyをインストールしてもAPNが自動で設定されない仕様で、自分で手動でAPNを設定してあげれば、ちゃんと繋がりました。
おそらく「Firsty 繋がらない」で検索している方の中には、arrows We2 Plus M06に限らず、同じように「APNが自動設定されないスマホ」を使っているケースがかなりあるのではないかと思います。
「eSIM対応と書いてあるのに繋がらない」と諦める前に、一度APNの手動設定を試してみる価値は十分にあります。
FirstyのAPNを手動で設定する方法(Android)
arrows We2 Plus M06をはじめ、AndroidスマホでFirstyのAPNを手動設定する手順は以下の通りです。
- 「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」または「接続」をタップ
- 「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名(APN)」を選択
- FirstyのeSIMプロファイルを選ぶ
- APN・ユーザー名・パスワードを入力する(具体的な値は下の表を参照)
- 指定のない項目は、空欄のままにする
- 設定を保存し、スマホを再起動する
iPhone の場合は、基本的に自動で設定されるはずなので問題ないはずです。
【重要】国によってAPN設定が違う
今回の旅行で実際に使った設定値は、以下の通りでした。国・地域によって設定が異なるので、ここが一番の注意ポイントです。
| 国・地域 | APN | ユーザー名 | パスワード |
|---|---|---|---|
| 日本 | e-ideas | 65ideas | 65ideas |
| 中国 | e-ideas | 65ideas | 65ideas |
| イタリア | bicsapn | (空欄) | (空欄) |
| エジプト | bicsapn | (空欄) | (空欄) |
| イギリス | bicsapn | (空欄) | (空欄) |
| ポーランド | bicsapn | (空欄) | (空欄) |
つまり、日本と中国は同じ設定、イタリア・エジプト・イギリス・ポーランドの4カ国も同じ設定でした。
日本で使っていた設定のまま中国へ行き、中国からイタリアへ移動するタイミングでAPNを切り替える、という形になります。
ネット上でよく見かける「bicsapn」はあくまでヨーロッパなどで使われる設定で、日本や中国では「e-ideas」+ユーザー名・パスワードが必要でした。
「bicsapnを設定したのに日本で繋がらない」という場合は、この「e-ideas」の設定を試してみてください。
なお、APN設定は地域やタイミングによって変わる可能性があるので、最新の正確な値はFirstyアプリ内のチャットサポートで確認するのが確実です。
今回私も、移動のたびにFirstyのチャットサポートでそのときどきのAPN情報を確認しながら旅をしていました。



【実体験】5カ国を移動して見えてきたAPNのクセ


ここからが、今回一番お伝えしたい部分です。
国をまたいで移動するなかで、APNにいくつかのクセがあることがわかりました。
最初の国・中国で、いきなり繋がらず焦った
今回の旅程は、中国(北京)→イタリア→エジプト→イギリス→ポーランド、という順番でした。
日本を出る前に、サブ機にFirstyを入れてAPN(e-ideas)を手動設定し、日本国内ではちゃんと繋がることを確認していました。
「これで準備万端」と思って中国へ飛んだのですが——北京に着いてもFirstyのネットがなぜかつながらない。APN設定はしてあるのに、です。
中国に着いてすぐ、DiDi(配車アプリ)やAlipayを使おうとしたのに、ネットが繋がらず正直かなり焦りました。(妻はahamoでネットが繋がっていたので、なんとななりましたが、、、)
中国はネット環境にクセがある国なので、なおさら不安になります。
ところが——到着から1日ほど経った2日目に、突然繋がるようになったのです。
それ以降、北京滞在中はずっと問題なく使えました。
思い返せば、日本でも「すぐには繋がらなかった」
この「時間が経ってから繋がる」現象、実は思い当たる節がありました。
日本でFirstyの無料プラン(広告を見ると数分間使えるやつ)を試したときも、APNを手動設定してから、実際に使えるようになるまで半日ほどかかったんです。
設定した瞬間に繋がるわけではなく、APNの設定が反映されるまでにタイムラグがあるようなのです。
中国で1日かかったのも、これと同じ現象だったのだと思います。
去年iPhoneで使ったときは、こんなことは起きなかった
ちなみに、去年Firstyを使ったときはiPhoneでした。
そのときはハワイ・ベトナム・台湾・香港のどこでも、まったく問題なく使えました。
iPhoneはAPNが自動で設定されるため、こうしたつまずきが起きにくいのだと思います。
今回サブ機にAndroid(しかもAPNが自動設定されない機種)を使ったことで、APN周りの問題が表面化した、というわけです。
なお、Firstyは2025年の夏頃に、eSIMの提供元やAPNまわりの仕様変更があったと言われています。
去年と今年で使い勝手の感覚が違う場合は、こうした仕様変更の影響もあるかもしれません。
いずれにしても、APNの値は最新のものをFirstyアプリのサポートで確認するのが確実です。
「Firsty自体は生きている」というのも重要なヒント
繋がらないあいだも、ひとつ気づいたことがあります。
Firstyアプリのチャットサポートには接続できていたのです。
つまり、Firstyという回線そのものが死んでいるわけではなく、APNがうまく機能していないだけという状態でした。
「アプリのチャットには繋がるのに、普通のネットは使えない」というときは、APN設定を疑うのが正解だと思います。
国をまたぐときのAPN対処法
5カ国を移動して得た教訓をもとに、国をまたぐときの対処法をまとめてご紹介しておきます。
APNの設定は国によって変わることがある
上記で紹介した通り、今回の5カ国のAPN設定はこうなっていました。
- 日本と中国:APN「e-ideas」、ユーザー名・パスワード「65ideas」
- イタリア・エジプト・イギリス・ポーランド:APN「bicsapn」、ユーザー名・パスワードは空欄
つまり、中国からイタリアへ飛んだときはAPNの変更が必要でしたが、イタリア→エジプト→イギリス→ポーランドのヨーロッパ圏内の移動では、設定を変えずにそのまま使えました。
「日本でbicsapnを設定したけど繋がらない」という声がネットにあるのは、日本では「e-ideas」の設定が必要だから、というケースもありそうです。
国や地域によってAPNが変わることがあるので、移動の前に確認しておくと安心です。
「繋がっているうちに、次の国のAPNを聞いておく」のが鉄則
中国で繋がらず焦った経験から、僕は旅の途中でこんな運用に切り替えました。
今いる国でFirstyが繋がっているうちに、チャットサポートで「次に行く国のAPN設定」を聞いておく。
次の国に着いてから「繋がらない、APNもわからない、調べようにもネットがない」という八方塞がりになるのが一番まずいパターンです。
繋がっているうちに次の情報を確保しておけば、移動後にAPNを設定し直すだけで済みます。
実際、この運用に切り替えてからは、イタリア以降の移動で大きなトラブルはありませんでした。
一度その国で繋がれば、次回は自動で繋がるかも
おもしろかったのが、旅の最終日のことです。
帰路で中国を経由(トランジット)したのですが、空港から外に出ないトランジットだったにもかかわらず、特にAPNの設定をやり直さなくても、Firstyのネットが繋がっていました。
これは推測ですが、一度その国できちんとAPNが設定・反映されれば、次回からは自動的に繋がるようになるのかもしれません。
確証はありませんが、同じ国を再訪する際の参考になればと思います。
Firstyが繋がらないときのチェックリスト
最後に、Firstyが繋がらないときに試したいことをまとめておきます。
- APNが正しく設定されているか確認する
特にAndroidの一部機種は自動設定されないので、手動で設定する。APNの値は国によって異なる(日本・中国は「e-ideas」、ヨーロッパ各国は「bicsapn」など)ので注意。 - 設定後、すぐ繋がらなくても少し待つ
APNの反映に数時間〜半日かかることがある。設定してすぐ諦めない。 - スマホを再起動する
APN設定の変更後は再起動が基本。 - 機内モードのオン/オフを試す
通信のリフレッシュで繋がることがある。 - データローミングがオンになっているか確認する
Firstyは海外の回線を使うので、ローミングがオフだと繋がらない。 - Firstyアプリのチャットサポートに問い合わせる
チャットには繋がることが多い。最新のAPN情報も教えてもらえる。 - 国をまたぐ前に、次の国のAPNを確認しておく
繋がっているうちに準備しておくのが最大の予防策。
まとめ:Firstyは「APNのクセ」さえ知っていれば心強い
Firstyは無料で使えるeSIMとして本当に便利なサービスですが、スマホによってはAPNを手動で設定する必要があること、そして設定が反映されるまでに時間がかかることがあることを知らないと、「繋がらない=使えない」と誤解してしまいがちです。
今回の5カ国の旅でわかったポイントを、もう一度整理します。
- 「eSIM対応なのに繋がらない」の正体は、APNの自動設定がされていないこと
- APNを手動設定すれば繋がるケースが多い(値は国によって異なる)
- 設定後、反映まで数時間〜半日かかることがある
- 国をまたぐときは、繋がっているうちに次の国のAPNを確認しておく
- 一度その国で繋がれば、再訪時は自動で繋がる可能性がある
特にAndroidでFirstyを使おうと考えている方は、これらを知っておくだけで、海外で焦らずに済むはずです。
Firstyそのものの使い方や申し込み方法については、別記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。



